Make組ブログ

Python、Webアプリや製品・サービス開発についてhirokikyが書きます。

「価値あるもの」を作らない。VRにある価値ではない「なにか」

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VRの世界

僕たち製品やサービスを作る人は、常に「価値あるもの」を作ろうとしています。 人にとって何か価値があるものを提供して、それに対する対価を得るのがビジネスや事業と考えられます。

ここで難しいのは「価値」というものの意味するところです。

僕もよく「人の抱えている課題を見つけてそれを解決してあげれば価値になる(良いビジネスになる)よ」と言っています。でも「価値」という言葉を使って考える場合、どうしてもマインドが「普遍的に良いもの」を求めてしまいませんか?僕はこれを恐れていて、特定の視座に固定されてしまうように思います。要するに 価値だけ考えると、しょうもないものしか作れないのでは と危惧しています。

VRChatにある「なにか」

VRChatを考えてみましょう。 VRChatはVRのゴーグルを付けて、好きなアバターに変身して友だちとお話するサービスです。 正直言って VRChatに"普遍的な"価値はありません が、僕の心を掴む「なにか」があります

ちょうど丸1年ほどVRChatをやっていますが、そこには便利さや利点を超えた「好きである」という感覚があります。 VRChatは正直ダメなサービスです。高い機材がないと楽しみは半減するし、導入も分かりにくいし、一番楽しい部分を味わうにはコミュニケーションの障壁を乗り越える必要もあります。 実際にプレイヤーのプレイ時間を見ると「すぐやめる」か「ドハマりする」かの二極化するようです。 でも面白い。これは何でしょう。

イメージしにくい人は、黎明期のニコニコ動画2ちゃんねる、同人文化を考えてください。 そこに普遍的な「良いコンテンツ」はありませんが、ただ何か面白い熱量があったと思います。

たぶんVRChatは一部の人しかハマらないと思いますし、「キメェ」と思う人もたくさんいるだろうと思います。 でもそれこそが、何か新しいものである証明だとすら感じます。

VRChatに今僕が感じるのは、その熱のようなものです。

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VRChatで友だちと飲む僕(真ん中が僕です)

熱を重視する

僕は「課題解決」と「価値」を重視してWebサービスを作ってきました。 でもいよいよそのモノサシを踏み外すときなのかもしれません。

もちろん現実的な課題が解決されることは最重要です。 ですがそれだけでなく「熱」というものも大切ではないでしょうか。

  • 何か新しい、これは面白いぞと思えるもの
  • 自分のこと、自分ができるんだ、と思わせてくれるもの
  • 未来を感じて熱狂してしまうもの

もっというと 「熱」を普遍的「価値」に昇華できること が良い事業開発なのかもしれません。 熱はまさに「芽」のようなもので、それを大衆に向けた普遍的な価値へ変えられることが魔法の杖の仕組みなのかもしれません。

価値とは何か、熱とは何か

改めて価値というものを考えれば、広くて便利すぎる言葉に思えます。 経済学的な効用価値の意味を考えれば、上記のような「熱」や「好き」も価値の1つと表現できます。

ですが僕は、やっぱり「価値」という言葉には危うさを覚えています 。 個々人がその言葉を感じるとき、どうしても普遍的で、交換可能な良さであるという文脈が尾を引いてしまいます。 それは製品やサービス同士を、比較表やスペックシートを使って比べるような貧相な発想しか産みません。

「好き」の大きさや熱量で考えてみましょう。あなたは自分の作ってるものに熱中してますか?熱中してくれる人はいますか?

価値をシッカリだしつつ、そこには熱があるのか「好き」があるのか、魂が震えるのかを今一度大切にしてみましょう。

VRChatで僕と握手!

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Vketを歩く僕

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自分の言葉で本当に考えて生きているのか

大人になってくると、どうにも他人の言葉をうまく使って、脳死のまま生きていられるのが恐ろしいと思っています。 これはここ5年くらいでジワジワと感じていて、非常に危機感があります。

ありませんか?

たとえば「大手ってそういうもんだよね」とか「寒くなってきたから体に気をつけてね」とか、当たり前なパターンとしての言葉をただ繰り出しているような感覚です。脳も心も動いていません。ただ学習されたパターンに応じて、最適化された点数稼ぎをしているだけです。まるで自分の口を「他者から見た自分」という人格が乗っ取っているようです。

もちろん言葉や思考というものは他人から盗んできたものを継ぎ接ぎしているようなものなので、自然といえば自然なことです。ですがどうにも完全に脳死状態でも生きられる、そして楽がゆえにそうなろうとしている危機感もあります。

僕は自分の頭と心と魂で、本当に考えているのでしょうか?

ティージョブズ1995というインタビューでの一幕を紹介します。

ビジネスの世界では物事が深く考えられていません。 AppleⅡで工場を使ったとき、標準原価という概念を知りました。 まず標準原価を割り出し、定期的に実際原価との違いを計算するという慣習でした。 それは何?と人に聞いても、「そういうものだから」と皆んな言っていました。

でもそれは、実際にはコストがどれくらいになるのか分かっていないので標準原価を一旦割り出し、定期的に実際原価との差異を解消するというものでした。 しかしMacのラインではすべてを自動化して、リアルタイムに正確にコストを割り出せるようにしました。

(意訳、中略してるのでちゃんと見たい人は以下のDVDを買ってください。下のリンクから買ってくれると、僕がRedbullを飲んで生産性が上がって世の中が良くなる手伝いができます)

以前、この話を見たときは「ふーん世の中バカばっかだな。俺はそうならない」と思っていましたが、今になるとこの罠にあっさりハマりそうで怖いです。自分の言葉として理解して納得しないかぎり、本当にそれが必要なのかも知らないままになります(実際に必要のないウンコちゃんなことでも)。 人とコミュニケーションを取っていても、最適化された問題ないやり取りをしているだけで、本当のコミュニケーションをしていない罠もあると思います。

大人になるというのは、自分という人格や体が、心を離れて勝手に生きられる状態のことなんだと思います。 他人や社会が求める僕という人格を作って、それに人生を明け渡して緩やかに死んでいくことなんでしょう。 でもそれは、僕には本当に緩やかに死んでいるのと同じに感じてしまいます。まるで体が徐々にロボットになっているようです。

今一度、何かを話すときや考えるときに、これは本当に僕という人間の魂から出た答えなのかを気をつけたいです。 そこにどんな僕が居るのかは分かりませんが、自分の魂と体の乖離を小さくするよう心がけて生きています。

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原稿のレビューお願いします!が伝わらない? - Shodoに通知機能を追加しました

Shodoに通知機能を追加しました

「よし!原稿が書けたしレビューしてもらおう」となったとき、こんなことはないでしょうか?

  • 「レビュアーさんにレビュー依頼するのって面倒だな…」
  • 「あれ?チャットでお願いしたけど話題が流れてしまったな…」

執筆にまつわる連絡に時間が取られたり、集中が途切れてしまうのはストレスになってしまいます。 コミュニケーションの大変さは仕組みで解決してしまいましょう!

Shodoでは新たに通知機能を追加して、執筆・レビュー依頼、コメントのやりとり、チェックリストのアサインが通知され、個別での連絡の必要がないようにしました。

これにより Shodo上のやり取りだけでレビュー依頼や執筆依頼の連絡が可能になりました

詳しくはこちらの記事をご覧ください

blog.shodo.ink

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モチベーションを時間経過で考えてみる - 起業して満足はやめよう

今日は雑談枠です。

モチベーションという言葉を使うとき、そのときどきの高さで考えがちです。 僕も「モチベーションが上がらない」なぁとボヤいたりはよくします。

でも実際は「モチベーション」というのは、もっと時間経過で考えるものなのではと思いつきました。

よくあるモチベーションのイメージは以下のようにピークとしての波がある感じでしょうか。

嘘のモチベーション

このピークの高さを自分に求めたり、他人に求めるのは危険でしょう。 これは単に「どのくらい今その気になっているか」という話で、嘘のモチベーションなのではないかなと思いました。 見た目上の数値は一瞬高いのが怖いところで、私も気付かずに陥りがちです。

モチベーションというのはもっと時間経過で考えるべきです。 たしかに一時的な気持ち的な高まりは必要ですが、グラフとしては以下のようにするのが目標です。

目標値としてのモチベーション

グラフの目標値に維持できている状態が「モチベーションが高い」ということです。 フィードバック制御をイメージするとわかりやすいです。 必要なのは根本的なアプローチで、なぜそれをやりたいのかや、執着心のようなものが必要そうです。 がむしゃらにアクセルを踏み続けるのでなく、より高い位置で維持する制御です。エンジンそのものをアップデートしたほうが良いときもあるでしょう。

僕も起業からまだ数ヶ月ですが、「起業する」という目標を達成してしまった恐怖があります。 スタートラインに立つことで、ある意味何かを達成したような気持ちになってしまうのは危険です。 たしかにピークとしての「モチベ」が今ずっとMaxであるわけではありません。ですがそこから漸近する目標値を高く設定して、それを維持していくことこそが本当のモチベーションなのではないでしょうか。

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29歳になりました

今日は僕の誕生日。29歳になりました。

節目である30歳までに、やり残したことがないように全力でいきたいと思います。

傷つくことは恐くない。だけどけして強くない。

ただ、何もしないままで、悔やんだりはしたくない

Give a reason / 林原めぐみ奥井雅美

Give a reason

Give a reason

  • 発売日: 2017/05/03
  • メディア: MP3 ダウンロード

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Shodoは作業中や仕事中に触れるツールとして開発しておりますので、利用者の皆さまの集中力を削がないようにデザインしています。小さなストレスや待ち時間でも、日々の中では降り積もって大きなストレスになります。 Shodoを起動する際の速度も大幅に改善しましたので、心理的なストレスなくお使いいただけると思います。 目立たない違いではありますが、今後もShodoは利用時の「手触り」にこだわって改善してまいります。

また、以前より利用していた外部のソフトウェア(OSS)では速度上の限界がありましたので、一部をShodoが内製したソフトウェアに変更しました。今後Shodoで得た知見やソースコードを外部に共有・還元できればと思います。

まとめ

ぜひ、 Shodo の日本語の自動校正機能と、チームでの校正ルール共有機能をご利用ください。 Shodoは現在クローズドベータとして無料でご利用いただけます

ベータテスターになってくださる方は以下のページよりご応募ください。

shodo.ink

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文章の校正支援サーバーRedPenにPullRequestを送りました

文章の校正をするオープンソースのサーバーRedPenにPullRequestを送りました。

先日レビュー・マージされたようです。ありがとうございます。 まだ問題はあるかもしれないので、気づいた人はテストの追加やさらなる修正をお願いします。

github.com

RedPenは日本語や英語の文章の校正ができるサーバーです。 RedPenはJavaで作られているのでPullRequestの作成時に久々にJavaを書きました。 実用と言う意味でJavaを書いたのはたぶん僕の初体験だと思います。

社内で校正サーバーを運用して多人数で使いたい場合はRedPenは良さそうですね。 textlintは手元でのツールという感じなので、サーバーを立てて社内向けに運用するぞというレベルであればRedPenのほうが向いていそうです。

なぜRedPenに?

記事の執筆プラットフォームの Shodo を開発するための調査としてRedPenを調べていました。

Shodoではブラウザー上で記事の自動校正を実行していますが、現在、サーバーサイドで高速かつ低負荷に校正をするよう開発中です。 そのために、既存のRedPenというサーバーとしても動作する校正ツールを調査していました。

結論としてShodoのバックエンドでRedPenの採用をすることはなさそうですが、RedPenというプロジェクト自体は面白いので何か協力できないかと思ったのが理由です。 RedPenのプログラムも読ませてもらいましたが、とても良くできていて勉強になりました。

VRChatでRedPenを教えてくれたぷろろーさん、ありがとうございます!

PullRequestで何をしたの?

RedPenにある日本語のら抜き言葉をチェックする機能に誤検知があったので修正しました。 「〜れない・られない」場合の検知はうまくいくものの、「〜られる」の表現を誤検知してしまう問題があったので修正しました。

すぐにレビューいただいて、ありがとうございます。 何かの役に立てたのも嬉しく思っています。

今後のShodoでは?

Shodoでは現在UXの改善に取り組んでいます。 単にデザインの修正だけでなく、動作速度や読み込みの速度、動作時の「引っ掛かり」をなくすよう工夫しています。 そういった手触りは気づかないところで降り積もったストレスとなるので、なるべく早く取り除きたいと思っています。

サーバーサイドでの文章校正をするオープンソースはRedPen以外になさそうです。 ですので、textlint構文木の作成に使いつつ、校正チェックやWebサーバーの部分はShodo独自の実装となりそうです。 textlintは良いツールですが、あくまでローカル環境で手軽に実行されることを想定しているものです。サーバーサイドで高負荷に耐えようとすると、どうしても形態素解析の遅さなどが問題になります。そこでShodoでは独自で実装していこうとなりました。

今後、Shodoで開発した知見やノウハウをまたRedPenやtextlintといったオープンソースに還元していければと思います。

shodo.ink

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