Make組ブログ

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なぜ「メルカリCEOからの緊急事態宣言を受けてのメッセージ」は問題を含むのか

メルカリCEOからの緊急事態宣言を受けてのメッセージというページがメルカリから公開されました。

about.mercari.com

これを受けてTwitterはてなブックマークコメントでは、一部このメッセージに批判的なコメントがされています。 僕としてこのメッセージやコミュニケーション上で何が問題だったのか?を話したいと思います。

私のスタンスから

先に軽く私のスタンスを話しておくと、 このメッセージ自体には問題はないと思います 。 ですが、 コミュニケーションとして大きなズレがあるのが問題です 。 CEO、経営者として全く問題ないメッセージを発信していると思います。

では何が問題だったのか。一部の読んだ人たちに反感を買ったのはなぜなのかを考えたいと思います。 これはあくまで私の意見ですので、軽い読み物と思ってくれると嬉しいです。

メッセージと批判の要約

「メルカリCEOからの緊急事態宣言を受けてのメッセージ」は以下のような内容です。

  1. 緊急事態宣言が出た。メルカリは政府要請にも応えていく
  2. メルカリUSはロックダウン中もサービス運営ができた
  3. 日本のメルカリでも在宅勤務へ完全に移行する
  4. 在宅勤務にあたって6万円を手当として支給する
  5. メルカリで生命を直接救うことはできないが、暮らしに必要な物を届けることで社会貢献をする

https://about.mercari.com/press/news/article/20200408_message-from-ceo/

批判的なコメントとしては以下のようなものがありました

  • メルカリが止めればマスクや消毒液の不足もなかったのでは?
  • 6万円は転売で稼いだお金か
  • 利用者に関係のないメッセージを社長から利用者に投げても自慢に聞こえる

もちろん、「がんばれ!」や「社会的にリモート化の流れが進みそうだ」、「6万円支給は英断」のようなコメントもTwitterをみると見受けられます。 正直、はてなブックマークのコメントは少し「叩きすぎ」な印象です。ですが、批判自体に筋が通っていないわけではありません。どういうことでしょうか?

コミュニケーション上の問題は何か

端的に言いますと、 「誰に対するメッセージかを間違えている」のが問題 だと僕は思います。

このメッセージ自体は問題ありません。むしろとても良い取り組みだと思いますので、応援したいと思います。 ですがそれはメルカリで働く人、メルカリで働くことを想像できる人、メルカリの投資家、経営者としての視点です。 在宅勤務でもサービス運営できることや、6万円の支給などは、会社としてであり人事としての話でしかありません。 サービスを利用する人たちという視点が欠落しています。対外的に発信されるメッセージであれば、サービス利用者を忘れてはいけません。

多くの一般的な人の気持ちとしては「メルカリ」という名前はサービスであり、手元にインストールされているアプリのことです。会社のことではありません 。そこでコミュニケーションの齟齬が発生しています。

とくに今はコロナウィルスの感染拡大によって、高額転売が問題になっています。Amazonやメルカリで転売が横行しているのは事実です。マスクや消毒液、NintendoSwitchが高値で取引されて、本当に必要な人の手に適正な価格で届いていないという背景があります。

「ウチの会社ではこんな取り組みをしている」、「6万円を支給する」とメッセージを向けられれば、「何の自慢を聞かされているのか?」「まず他に言うことがあるのでは?」という反感がまず生まれても自然です。 一般的な感覚で読むと、背景にある時流を意識せざるを得ません。もちろん「メルカリは高額転売」と直接イコールと考えるのは大きな間違いですし、メルカリも高額転売対策もされていると思いますが、「悪い目で見れば」そういった批判はできてしまいます。

マイナスの見方をしている人が欲しかった言葉はまず「ごめんね」でした。その後に取り組みの話をしても良かったのではないでしょうか。

どうすれば良かったか

私なりの解決としては2つあります。1つ目は会社とサービスを分離すること、2つ目は会社代表がお客様代表であることです。

1つ目については簡単で、会社名を「メルカリ」というサービス名から変えることです。そうすることで「会社代表としてのメッセージ」として、サービスの言葉ではないと分離できます。会社名を変えるのは大変だと思うので、今回のメッセージは社内向けにだけにするのが手っ取り早いかなと思います。

2つ目はサービス運営、会社運営そのものについてです 。会社の代表者である以前にお客様の代表者であるべき です。今回のメッセージは圧倒的に利用者の視点が足りていないです。ひとこと「マスクなどでご迷惑をおかけした」、「だが対策を引き続き講じるし、より良いサービス提供を続けていきたい」と添えておけば万人に受け入れやすいものになったでしょう。マイナスの視点を持つ人は必ずいます。その人がプラスの気持ちに転じられるように、まず一言「申し訳なかったな」と気持ちを添えるのが大切です。その瞬間だけは、ちょっとくだけた文体になってるほうが心に響きやすいと思います。

イメージしてください、自分が買えなかった消毒液がメルカリで高額転売されていたら。自分が予約もできなかったNintendoSwitchどうぶつの森同梱版がメルカリで倍以上の値段で売られていたら?まずその気持ちに応えるべきです。

「CEOとして言うべきことか?」と思われるかもしれませんが、そこが問題です。メルカリCEOという名前を使う時点で、一般的に利用する立場としては 「僕たちの使っているサービスの代表者」と感じます 。会社経営者としては違うと思うかもしれませんが、 避けられませんし、避けるべきではありません

サービスを運営する会社の代表者は、 会社の代表者である以前にお客様の代表者であるべき です。 お客様の視点をもって、会社やサービス、従業員、投資家を鼓舞して導いていくべきです。私自身言っていて、相当に難しいと思います。私もPyQというサービスをビープラウドという会社の従業員として開発、運営していますが、その「お客様の視点」は常に意識していないと抜けていってしまいます。これは本当に難しいので、私自身も道からそれてしまうことはよくあります。

あなたの会社が成り立っているのは、お客様の課題を解決しているからです。 従業員が頑張っていたり投資家がいてくれるのも大切ですが、根本的にはお客様の課題があって、それを解決して初めて会社に価値が生まれます。 今回のメッセージはそれを完全に忘れています。高額転売の問題はお客様に課題を与えてしまっています。このことについてはメルカリが一生懸命取り組んでいるのを知っていますが、それでもこの「メルカリCEOからのメッセージ」としては無視してはいけなかったと思います。

社内でレビューしよう

こういったメッセージや記事、コンテンツはお客様との大切な対話の瞬間です。 人にはいろんな視点がありますので、ぜひ社内で十分にレビューすることをオススメします。

そんなときはShodoというWebサービスを使うことをオススメします。 これは私が個人的に運営しているWebサービスで、記事の執筆、レビューなどをオンライン上ですべて賄えるプラットフォームです。 メルカリの皆さん。ぜひShodoの導入はいかがでしょうか?クローズドベータ利用者を絶賛募集中です。

shodo.ink