ちょっと、大きなテーマを扱います (大げさな話しなので間違いがあれば教えてください)。
- 「やりたいことが見つからない」
- 「自分は何をやっても中途半端になる」
- 「好きなことも、すぐに飽きてしまう。楽しくなくなる」
そういった悩みは、僕を含めて、多くの人が持っていると思います。 でもそう思う理由は「やりたいことの見つけ方」を知らないからです。
僕は最初から「やりたいこと」なんて無かった
僕について少し自己紹介かねて個人的な話をします。
僕は今、BeProudという会社でプログラミング、プロダクト開発を仕事にしています。 PyQ というWebサービスを4人の小さいチームでゼロから企画して、今も開発をしています(最初はharu、kamekoと僕で企画を練って、僕が開発でした。初期はちょいちょいshinが関わってくれて、4人で作りました)。
僕は12歳のときからプログラミングをしているので、周りからは「子供のときから好きなことを見つけられた人」と言われたりします。 でも12歳のときから今のように「Webサービスを作るのは本当に楽しい」、「Webサービスで良いものを作りたい」とは思っていませんでした。
小さいころの僕は「新テーマパーク」や「デザエモン」、「RPGツクール」という「何かを作るゲーム」が好きでした。その延長線上で、C言語でプログラミングを初めたのがキッカケでした。 最初は分からないことがたくさんあって「そこまで楽しくないな」、「イライラするな」と思ったのを覚えています。でも確かにあったのは「知りたい」という気持ちでした。
その後もたくさんのことがあって、僕は自然と「やりたいことの見つけ方」を見つけて生きてこれたように思います。ですが、単にラッキーだっただけだと思います。
というわけで、今日は、その「やりたいことの見つけ方」を話します。
まず「やりたいこと」とは何か
多くの人や世間の常識は「やりたいことを見つけなさい」、「自分が楽しいことをしていれば自然と成功する」と言います。
そう言われると「いや、僕にはそこまでやりたいことがないな」と思ってしまいます。 でも落ち込む前に聞いてください。これはまず 「やりたいこと」という語の定義が曖昧なのが問題です 。
まず、「やりたいこと」の定義を分割して考えましょう。「やりたいと思う」という「動機」には3つの種類があると僕は考えています。
- レベル1: 外部から自分に向かう動機(アウトサイドイン)
- 何かを知りたい
- 何かをできるようになりたい
- こんな人になりたい
- これはできそうだな
- レベル2: 自分から自分に向かう動機(インサイドイン)
- この行為をしていると純粋に楽しい
- 自分の喜ぶことをしたい
- レベル3: 自分から外部に向かう動機(インサイドアウト)
- 誰かのためになろう
- 世の中をこう変えよう
- みんなで一緒に楽しもう
これを やりたいことの3レベル と呼びましょう。
世の中でよく言われる「やりたいことを見つけなさい」という場合は、やりたいことの3レベルのうち、レベル2の「インサイドイン」の動機を指していることが多いです。ですがこの レベル2やレベル3の動機を初めから持つことは難しいです 。
動機は、以下のようにレベル1からレベル3に積み上がっていくものと思ってください。
下のレベルほうが、「やりたいこと」の中では親しみやすいものです。
まずレベル1の動機を見つけよう
多くの「やりたいことなんて全く無いよ」という人は、要するに初めから「レベル2の動機が心に存在しなければならない!」と勘違いしている人です。
やりたいことが見つからない人は、まずは「知りたい」、「できるようになりたい」 ことから始めましょう。
- 何か知りたいことはありませんか?
- プログラミングって何か気になるなぁ
- イギリスにいってみたいなぁ
- 喋るのは割とできるな
- 何かなりたい姿はありますか?
- プログラミングができるってカッコイイな
- 英語がしゃべれるようになりたいな
- YouTuberっていいなぁ
「やりたいこと」というと難しいですが、「知りたい」「なりたい」は誰にでもあるはずです(英会話スクール、ファッション雑誌、旅行ガイドが巷に溢れているということは、誰しもが持っている感情というのは明らかです)。
その 知りたいこと、なってみたいことを具体的にやってください 。「まず初めてみる」ことは絶対に可能です。プロになろうといきなりしないでください。純粋に、自分の知的好奇心や憧れを満たすためにまずやってみましょう。
でも感情というのはロウソクの炎のようなもので、大切にしないとすぐにかき消えてしまいます。 例えば他人からの否定、自分自身での否定、常識やマナーといった横風に吹かれてすぐに消えてしまいます。
「知りたいな」「なりたいな」「ワンチャンできそうだな」と思ったら、その炎を守ってください。そして消えてしまう前にすぐに行動してください。今すぐに。そして小さい成功体験を味わってください。
動機の炎をレベル2に大きくする
もしレベル1の動機があれば、ぜひ何も考えずにそれに打ち込んでください。 今の世の中、情報は腐るほどあります。知れないということは絶対にありません。
何かをしている間に、「なるほどコツを掴んだぞ」、「何だかできるようになってきたぞ」という発見があるでしょう。これが身になる瞬間(レベル2になれる瞬間)です。 ここで初めて、あぁ、これが「やりたいこと」、「好きなこと」、「楽しいこと」なんだなと気づけます。 やるだけで自分の楽しい範囲でうまくいくので、とても楽しいです。
ですが「身になる瞬間までは、ぶっちゃけ楽しくない」と思っていたほうが安心です。多くの人はここを誤解していて 「自分に向いていることなら何をどうやっても快楽的に楽しいんだろう」と思いすぎ です。 でもやってればいつか「身になる瞬間」がきます。身になれば、あとは自然とこなしているだけで楽しくなります。例えばギターである程度の曲を引けるようになった段階や、多少の英会話ができるようになった段階、プログラミングで思ったプログラムをある程度書けるようになった瞬間です。楽しいですよ。
僕が12歳からプログラミングを初めて、「僕はプログラミングが好きなんだ」とちゃんと思えるようになったのは18歳か、19歳あたりだと思います。
やりたいことを人生(レベル3)にする
ここまでくれば自分の「やりたいこと」を使って、他の人に価値を提供したり、自己表現ができるようになります。 もし何かを生み出したい、役に立ちたい、驚きを与えたい、誰かを笑わせたい、一緒に楽しいことをしたい、世の中を変えたいと思えるなら、それがあなたの本当に好きなことです。
例えば「こんなWebサービスを作って、多くの人にプログラミング言語Pythonを学んで欲しい」と思ったり、「こんな新しい音楽を作って、世の中の人をあっと言わてやる」と思ったり、「この旧来以前の業界を変えるような会社を作ってやろう」と思ったり、「みんなでこのトピックで集まって楽しいことをしたい」と思ったりです(単に「世界を変える人間になってやるぞー」と思っているのは、レベル1の動機です。具体的に、公約としてコミットメントできるレベルの動機と思ってください)。
今までやってきたことがレベル3の動機に繋がれば、本当にラッキーです。 「好きなことをしていたら、お金は後からついてくる」という人の「好きなこと」とはこのレベル3の動機のことです。 自分の好きなことを通して、人々に価値や喜びを提供したり、信頼関係を気づいていける状態のことです。
今の僕はPyQを作ったり、 dig-en を作ったり、 DjangoCongress JP を主催したり、さらに新しいプロジェクトを立ち上げていたりします。学生のころからSinboon、PushosuやKarmaidなどを作ってきましたが、本当の本当に人に喜ばれるプロダクト・サービスを作れるようになったのはごく最近のことです。PyQを始めたのは25歳か26歳のころなので、12歳にプログラミングを始めてから15年近く経ちました。
やりたいことを見つけよう
やりたいことが見つからないなら、まず気になること、知りたいこと、なりたいことから初めてみましょう。
最近は情報が多すぎるので、「やりたいこと」のハードルが高すぎる気がしています。まず気になることを何でもやるのが良いと思います。
その「動機」の炎をゆっくり育てていけばいいと思います。
これが僕なりの「やりたいことの見つけ方」です。ぜひ何か気になることから始めてみましょう。
何か聞きたいこと、知りたいこと、ツッコミたいことがあれば、何でもはてブのブコメか、 @hirokiky へのリプライに書いてください。 僕もたくさんの意見を聴きたいので、ぜひ書いてください。