小学生のころトムソーヤの冒険を読みました。何かよく聞く名前だし、名著らしいし読むかという打算的な気持ちもあったと記憶しています。
読んでみると、思ったより冒険はしないんですね。というよりも僕が期待していたのはもっと壮大な「インディージョーンズ魔宮の伝説」くらいの冒険なのですが、トムソーヤは「地元」で話が止まります。だからこそ子どもにとっての「冒険」であったり、大人の恐ろしい世界を垣間見たり、子どものずる賢さや素直さが読めて面白いわけです。
そんなちょっとガッカリした記憶はあるのですが、それでも記憶に残っているのが、ペンキを塗る話と自分の葬式の話です。ペンキの話は、嫌な仕事を楽しいフリをしてやって、他人にやらせるという有名なやつです。読んだときは「すげぇ!」と思った記憶があります。そんなことして良いの?(良いんだ!)という感覚です。この有名な話が僕の記憶にもちゃんと残っているというのが、自分事としても感心してしまいます。当時、タイトル以外のネタバレは食らっていない状況だったので、新鮮な気持ちで読んで面白かったんでしょうね。
葬式の話も「自分が死んだときの周りの反応を見たい。自分の大切さを分かってほしい」という純粋な欲求と好奇心をくすぐられた気がします。というよりもSNSを中心にしたメンヘラ的な感情ってこれなんじゃないですかね。その感情を理解して書かれているし、それを面白いと子ども(の僕)も思うもんなんですね。
だからマーク・トウェインはすごいんだ、と今になってドヤ顔で言ってやりましょうか。
名著を褒めとけばカッコいいみたいなんがありますが、あれやってる人ダサいのでやめとこう。
執筆:Kiyohara Hiroki (@hirokiky)
(Shodoで執筆されました)