免責: この記事は個人の戯言です この記事に政治、宗教的な立場はありません。また、何かを他人に訴える文章でもありません。 僕がただ感じたことを書いているだけです。
本文
育児において何が苦労するのか。作業自体の労力もちろんですが、僕は情報の曖昧さ(基準や業務内容の曖昧さ)からくる余分な疲れというのも多いのではないか?と思っています。 「どういうこと?」「基準?業務?」と思う人にほど読んで欲しいところです。育児や家政には基準、業務設計や正解がないから大変だという話をします。
父の乳 pic.twitter.com/JKszVFMaoP
— Hiroki KIYOHARA (@hirokiky) September 6, 2019
(これは早朝に、ミルクをあげるブサイクな僕です)
例えば新生児を育てたことがある人なら、誰しも以下のような疑問を持ったことだと思います
- 授乳間隔はどれほど守るべきなのか
- 授乳の時間はどれくらいかけて良いものなのか
- なぜ毎度沸騰して70℃以上にしたお湯でミルクを作るべきなのか
- 哺乳瓶を洗う洗剤は、必ず乳幼児用を使うべきなのか
色々な情報を調べたり教えて貰えるので知ることはできるでしょう。産科の看護師さんに教えてもらったり、親に教えてもらったり、役所の勉強会で知ったり、ネットで調べて知ったりできます。でも情報のソースが多くて混乱することもあることと思います。
僕が腑に落ちないと言っている点は何でしょうか。それは「基準」がないことです。調べたり教えて貰っても、明確な答えが常に100%あるわけではありません(知っているものは後述します)。 義務教育やプロトコル、規格のような基準、ある種の「バイブル」はなく、あくまでも個々人として対応する必要があります。
情報がどれも曖昧な理由は2つ考えられます
- 安全性の絶対的な基準がないこと
- 子供による個体差の違いが大きいこと
言ってしまえば、育児(や家政)は業務設計や組織管理ができていない職場です。 そのゴール設定、ルール、手順、定款、労基を自分で作る必要がある場だとすら言えます。
育児においてその基準があれば親のストレスは随分軽減されると感じています。 例えば調乳や授乳の基準があれば「これだけやっとけば大丈夫。それ以上は趣味範囲の頑張り」というのが分かって気持ちも楽になるでしょう。 例えば赤ちゃんが泣いたときも、「100dBまではご近所さんからも許容されている」と分かっていれば「泣かせておけばいいや」と思えるかもしれません。
何が言いたいかというと、僕は今世界で一番、世の親というものに共感しているということです。
1. 安全性の基準はどこに
まず目的が「子供の健康的な発育」ということで、安全性をどこまで求めるべきかという基準はそもそも存在しません(究極はもちろん個人の自由になります)。 大昔の人類であれば滅菌も殺菌も気にすること無く生きてきたことと思いますが、それに併せて疾病や死亡リスクも高かったんだろうと想像できます。だが現代ではどこまで求めれば良いのでしょうか?
現代においては知られているリスクをもとに、なるべくリスクを減らすようにしたいことと思います。後述するように比較的信頼できる基準はあるので、それを参考にするのが良いでしょう。
でも世の情報にはお気持ちレベルのものも多いです。例えば哺乳瓶などの滅菌をする「ミルトン」は水で洗い流す必要はないとメーカーが表示していますが、ネットで調べると「いちおう水で洗い流しています」という情報も見つけられます。それはもはや神経質すぎではないでしょうか。
個人がそうなるのも理解できます。基準がないがゆえ、どこまで「リスクを許容したうえで楽をできる」かが分からないからです。 信頼できる基準があって、それを信頼すれば、もう少し楽な気持ちで育児に望めるのではないでしょうか。
調乳のガイドライン
安全性の基準は探せばあります。もちろんメーカーの製品が書いてあることは、個人の想像よりは信頼できるでしょう。 また、例えば調乳については、WHOとFAOの出したガイドラインを訳したものを厚生労働省が公開しています。
これについては、以下のように明確に書かれており分かりやすです
- 前提として無菌状態の調整粉乳を作ることは難しい
- E Sakazaki、Salmonellaの感染リスクを下げたい
- 以下の手順をガイドラインとして推奨
- 哺乳瓶などは滅菌すること
- 一度沸騰させたお湯で調乳すること
- 70℃以上のお湯で調乳すること
- 調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは捨てること
また、誕生後6ヶ月までは母乳を推奨するとも書かれています。 これは原典が2007年のガイドラインなので古い情報かもしれませんが、無いよりは良い情報です。 これで「70℃以上で調乳」の根拠も分かります。
2.個体差
ここまで基準やなんやと書いていますが、正直、基準を用意するなど無理なことも理解しています。 それは子供の個体差が大きいからです。
もちろん調乳やら疾病リスクについては基準は設けられるでしょう。 でも「どういう姿勢で授乳すべきか」「どのくらいの感覚で授乳すべきか」「洗剤には何を使うべきか」「なぜ泣くのか」「便の頻度はどのくらいか」などは個体差が大きすぎて基準が設けられません。 例えばウチの娘はそれほど泣かなきません(でしたが、一ヶ月くらいになる頃によく泣くようになりました)。ミルクは飲みますが、飲んでるときの休憩はよくするなどあります。僕の赤ちゃん時代は石鹸に弱く沐浴剤を使っていたそうですし、子供によってはベビーオイルで肌荒れするなど個体差が多くあります。
よくよく考えてみれば、大人も自分自身も個体差があり、自分の健康にすらもよく分かっていません。 健康についても数多くの宗教がありますし、どれが正解かも分かりません。僕はボディーソープはダブが良いですし、皆、気がつけば低糖質ダイエットにハマっています。だがそれの恒久的な正解はなく個人の好みの問題です。
育児が難しい理由は、それら「宗教の選択」が自己責任の範疇を少し超えていることです。 あくまでも子供という他人を面倒みないといけないのに、自己責任の範疇で面倒を見る必要があることです。 これが育児ストレスやノイローゼの大きな一因になっていると思います。マジメな人ほど、100%の安全に寄せようとして心労を重ねているように見えます。
言ってしまえば誰しもが素人ながらルールもなく、絶対の正解もなく、あいまいな成果を求められている状態です。管理体制のない組織のようですね。 管理視点での仕事において大切なのは、業務設計と、ゴールの基準と、評価制度 だ(と僕個人は考えている)。育児や家政にはそれがなく、自分や家庭内で策定する必要があります。 実に自主性を求められる職場です。もはや小さな起業ではないでしょうか?
まとめ
僕が何をあなたに伝えたいか、ということはありません。 新生児の育児は大変だねという共感です。 強いて言うなら、もう少し業務設計やマネジメント的な視点を持ち込むと良いかもしれません。 以下の本や僕のブロク記事をオススメします。
気が向けば、「家政のための業務設計入門」というブログ記事でも書こうと思います。
- 作者: マイケル・E.ガーバー,Michael E. Gerber,原田喜浩
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